きょう6月4日は「ムシの日」。日本ペストコントロール協会は毎年6月4日から7月4日までを「ムシナシ月間」として衛生害虫、害獣駆除の推進月間と定め啓蒙活動を展開する。昨今においてはハチ、ダニ以外にヒアリやセアカゴケグモなどの昆虫類のほかにアライグマやハクビシンなどの外来有害生物の問題や、蚊や鳥を媒介した感染症、豪雨や地震による災害被害などの問題にも対応が求められている。公益社団法人愛知県ペストコントロール協会は専門性と知識をもって行政と連携を図り、こういった問題に迅速に対応できるよう取り組んでいる。今年はアジア・アジアパラ大会の開催に向けて一層の連携と対策が必要となる今、協会と行政の代表者に現状と今後の課題を聞いた。
川合:当協会は、ネズミ・害虫等の有害生物の防除を通じ、県民の皆さまの公衆衛生及び生活の安心・安全の向上に努めています。2026年3月31日現在の会員数は、正会員68社、賛助会員12社の計80社です。
25年度のねずみ・害虫等の相談件数は1535件で、前年の1979件から大きく減少しました。一番の原因はハチの相談が943件から644件に減ったこと。酷暑でハチも蚊も活動が穏やかだったからです。逆にアライグマやハクビシン、イタチといった有害動物の相談は97件から121件に増えています。
市岡:毎年6月4日から7月7日を「ムシナシ月間」、6月4日を「ムシの日」と定め啓発活動を行っています。来る6月6日(土)には「ムシの日イベント」を愛・地球博記念公園内の三日月広場で開催します。クイズ、ゲーム、大道芸、昆虫標本コーナーなど楽しいイベントが盛りだくさんです。無料相談コーナーでは虫に対する悩みを伺い、対策をお伝えします。
三宅:愛知県では、市町村で行われる健康まつり等のイベントを利用し、ダニや衛生害虫等のパネル、標本などの展示を行い、県民の皆さまへの知識普及を図っています。また、人の健康と環境に優しいネズミ・昆虫など対策として、IPM(総合的有害生物管理)に基づく管理方法の普及を進めています。08年3月に「県有施設における農薬・殺虫剤等薬剤適正使用ガイドライン」を定め、毎年、遵守状況の確認や、公共施設の管理担当者を対象とした研修会を開催していますが、IPMの考え方が浸透してきていると感じています。
相談件数は比較的少なく、21年度15件、22年度9件、23年度34件、24年度38件、25年度は32件で、直近3年間はほぼ横ばいとなっています。
尾原:名古屋市の直近5年間の相談件数を見ると、21年度1816件、22年度2126件、23年度が少し減って1684件、24年度1549件。25年は12月末現在で1193件となっています。暑さの影響なのか、相談件数が急減しています。内訳は5~6割がハチの相談で、昨年度はセアカゴケグモが約10%を占めました。
名古屋市では、毎年4月にスズメバチの危害防止運動を、5月と6月にはゴキブリの防除運動を展開しています。ポスターの掲示や講習会の開催を通じて正しい情報の発信を心掛けています。例えば、セアカゴケグモは毒を持っており、積極的にかむと思われている市民の方も多いですが、触らなければかまれることはありません。このような公式サイトなどでの正しい情報の発信を続けていきたいと思っています。
川合:蚊が媒介するデング熱やジカ熱、ウエストナイル熱が心配ですね。ただ、昨年のような酷暑で蚊が少なければリスクは下がります。それより怖いのは、感染した方が来日され、そこから広がるケースです。以前のデング熱の国内感染はそういうパターンでした。
もう一つ気になるのがマダニです。有害動物の相談が増えているということは、マダニが付いた動物が会場周辺に現れる可能性も高くなります。病原菌を持っていないマダニも多いですが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のリスクは高まります。最近問題になったハンタウイルスは、ネズミが媒介するものですが、感染によって海外から持ち込まれる可能性も頭に置いておく必要があるでしょう。
市岡:蚊とマダニは事前に生息調査をして発生しやすい場所を把握しておけば対策は打てます。ただ、感染した状態で来訪される方の対策はなかなか難しい。そこからどう広げないかを、これまで以上にしっかり見ていかないといけないと思っています。
三宅:建築物の衛生という観点からは、ホテルや旅館のトコジラミ対策が重要になってきます。海外からの来訪者が増える大会期間中は、日常的な客室点検の徹底と、疑いがあればすぐ使用停止・専門業者への相談という迅速な対応をお願いしたいですね。行政だけでなく、地域全体が一体となって準備を進めていければと思っています。
尾原:私どもも蚊とマダニを一番懸念しています。蚊については市内8地点で毎年5月から10月にかけて捕集・ウイルス検査を実施しており、今のところ市内でのウイルス検出事例はありません。マダニも調査を昨年度から再開しており、現時点ではウイルスは陰性です。昨年10月にはデング熱発生を想定した薬剤散布訓練も実施しました。いざ発生した際には行政だけでの対応は困難であるため、協会のお力をぜひお借りしたいと思っています。
三宅:協会には防疫隊48、感染予防衛生隊が編成されており、大変心強いです。18年に締結した「感染症発生時における消毒業務に関する協定」のもと、有事の際には引き続き技術的な支援をお願いいたします。
尾原:現場で実際にご対応いただくには、技術と経験を磨くことがとても重要です。今後も研修・訓練を一緒に開催させていただければと思います。名古屋市内はここ数年、大きな浸水被害は発生していませんが、いつ何が起きるか分かりません。有事の際はぜひお力をお貸しください。
6月4日は「ムシの日」 7月4日まで「ムシなし月間」