昨年設立50周年を迎えた愛知県ペストコントロール協会。 日頃より人の生活に害や不快感をもたらすダニや蚊などの生物の防除、駆除を行っている。 昨年度から「防疫隊48」を結成し各自治体の防疫活動に迅速に対応する体制も整えた。 きょう6月4日は「ムシの日」にあたり、今回は行政と協会の代表者にお集まりいただき、業界の現状や課題について語ってもらった。
―まず、協会の紹介をお願いします。

当協会
会長 坂倉 弘康 氏

坂倉 当協会は、1968年の設立以来50年、県民・市民の皆様の生活環境衛生の維持、向上に取り組んでいます。 防除対象もかつてのネズミ、ゴキブリ、シロアリ、スズメバチ等に加え外来有害生物のウエートが大きくなってきました。 変化する生活環境衛生のニーズに対応するため、技術力の向上と啓蒙活動に努めています。
近年、蚊媒介感染症が急増しています。 私どもは2008年に行った蚊の生息調査のその後を追跡し比較検討する必要があると考え、10年目の昨年、定点調査を実施しました。 1月の設立50周年記念式典で行った報告は、県内外の自治体や研究機関から注目を集めています。

―「ムシの日」の取り組みについて教えてください。

市岡 毎年6月4日から7月4日を「ムシナシ月間」、6月4日を「ムシの日」と定め啓発活動を行っています。 6月1日には星ヶ丘三越1階ピロティでムシの日のイベントを開催しました。 有害生物に関する学術研究と技術開発の推進について協力することを目的として連携協定を締結している中部大学応用生物学部の学生の皆さんにもお手伝いいただき、大変盛況でした。

―行政への相談件数と概要は。

愛知県保健医療局生活衛生部生活衛生課
課長補佐(環境衛生グループ)
三浦 冴子 氏

三浦 県内12カ所の保健所に寄せられた平成30年度の衛生害虫等に関する相談は86件(平成29年度226件)で、うちダニに関する相談は18件、その他の衛生害虫等に関する相談は68件でした。 相談中、実際に昆虫の同定を行ったものは12件で、ダニに関する相談のうち健康被害があったものは、かまれたもの4件、アレルギー症状1件となっています。

平成30年度の相談件数は2999件で、29年度の4175件から大幅に減少しました。 相談件数で最も多いハチは1488件(29年度2156件)で、内訳はスズメバチが32%、アシナガバチが42%となっています。 2番目に多いのがセアカゴケグモで471件(同370件)。 セアカゴケグモは名古屋市内全区で生息が確認されており、定着したものと認識しています。 ヒアリの関係で29年度に相談件数が急増したアリに関する相談は、495件から137件に減少しました。

―協会に寄せられる相談件数と概要は。

当協会
理事 市岡 浩子 氏

市岡 平成30年度の相談件数は1356件(29年度1347件)。 このうち実際に現場で作業を行ったものが688件で、有害動物(アライグマ、ハクビシン、ヌートリアなど)の駆除依頼が急増しました。 行政からの有害動物駆除依頼は78件(同51件)でした。

―今後の活動内容を教えてください。

市岡 当協会は2010年から2019年の間に、愛知県内16市町村と「災害等発生時における防疫活動の協力に関する協定」を締結しました。 各自治体の防疫活動の要望に迅速に対応するため、昨年度「防疫隊48」を発足、愛知県内に48の防疫活動班を編成することが可能になりました。
新たに発足した総ブロック委員会が運営の中心となり、今年度は技術委員会と協力して水害時の感染症対策のための衛生消毒マニュアルを作成する予定です。 協定を締結している市町村役場、近隣の保健所、「防疫隊48」が共に学ぶ講習会も企画しています。

―行政の今後の取り組みと協会に望むことは。

三浦 県では、IPM(総合的有害生物管理)の普及・定着に取り組んでいます。 県有施設に関しては、平成20年3月に策定したガイドラインに沿って農薬や殺虫剤などの薬剤の適正使用を進め、実施状況の確認や施設担当者向けの研修会を開催しています。 IPMによる管理基準の設定方法や適切な実施計画の作成方法などに重点を置いた防除技術の向上と、技術者の育成に引き続きご尽力いただくことを期待しています。
最近は家畜防疫の関係でもご協力いただいております。感染症対策をはじめ災害時の防疫活動や技術的支援も引き続きよろしくお願いいたします。


名古屋市健康福祉局・名古屋市保健所
健康部環境薬務課 環境衛生係
林 圭子 氏

名古屋市では、4~5月はスズメバチ危害防止運動期間、5~6月はゴキブリ防除運動期間、6~7月は蚊の防除運動期間、11~12月はネズミ防除運動期間というように、適切な期間を定め講習会などの啓発活動を行っています。 また、毎年地点を定め、蚊のウイルスの保有状況調査を行っています。 未知の感染症への対応や、南海トラフ巨大地震をはじめとした自然災害時の防疫活動の際には、ご協力をお願いいたします。

―「子供たちがなりたい職業」となるために協会が力を入れていることは。

坂倉 ペストコントロールは、高い技術と専門的な知識を駆使して人を守り感謝される、とてもやりがいのある仕事であるということを、子供たちと親御さんに知っていただきたい。 そういう思いで2年前から「愛知サマーセミナー」で講座を開講しています。 地域市民と学校が一緒になって開催する市民参加型のこのセミナーは、毎年2千講座、参加者は延べ6万人という大きなイベントで、今年は7月13~15日に開催されます。 大学生向けには、中部大学との産学連携協定によって、「ペストコントロールカレッジ」を毎年開催しています。 地道な運動を積み重ねることで、「人に感謝される職業に就きたい」と考える子供たちが増えたらうれしいですね。

―ありがとうございました。

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