今年設立50周年を迎えた愛知県ペストコントロール協会。 日頃より人間の生活に害や不快感をもたらすダニや蚊などの生物、カビなどの微生物に対する予防、防除、駆除などを行っている。 きょう6月4日は「ムシの日」にあたり、今回は行政と協会の代表者にお集まりいただき、業界の現状や課題などについて語ってもらった。
―まず、協会の紹介をお願いします。

当協会
会長 坂倉 弘康 氏

坂倉 当協会は、1968年に設立され、今年50周年を迎えます。 この間、デザイン博、愛知万博等のイベントにおいて衛生的環境の維持を、東日本大震災等の被災地支援において防除管理を担ってまいりました。
 現在、正会員60社、賛助会員11社の合計71社(平成30年3月末)で、県民・市民の皆様の公衆衛生の向上に取り組んでいます。 私は5月に会長に就任したばかりですが、諸先輩の思いを受け継ぎ、公益社団法人として時代の流れに対応した取り組みができる協会を目指してまいります。

―「ムシの日」の取り組みについて教えてください。

川合 毎年6月4日から7月4日までを「ムシナシ月間」、6月4日を「ムシの日」と定め啓発活動を行っています。 近年、蚊が媒介するデング熱の国内感染や他国のウエストナイル熱等の脅威もあり、特に蚊の問題に取り組んでいます。 一昨年から星ヶ丘三越1階ピロティで、ムシの日のイベントを行っています。 ゲームを楽しみながら衛生害虫に関する知識を広めることを目的としています。 今年は6月2日に開催、大勢の方にご参加いただきました。

―行政への相談件数と概要は。

愛知県健康福祉部保健医療局生活衛生課
課長補佐(環境衛生グループ)
矢野 昌伸 氏

矢野 平成29年度の衛生害虫に関する相談件数は226件、このうちダニに関する相談が29件、その他の衛生害虫に関する相談は197件でした。 衛生害虫の相談で実際に同定を行ったものは9件、ダニに関する相談で健康被害があったものは、かまれたもの8件でした。

29年度の衛生害虫に関する相談件数は4175件で、前年度(4238件)に比べやや減少しています。 特徴的なのは、アリの相談件数が激増していることです。 一番多いのは例年どおりハチ(2156件)ですが、2番目に多かったのがアリでした。 アリの相談件数は495件で、前年度(65件)に比べ8倍近く増えています。 このうちヒアリに関する相談が475件で、昨年名古屋港で発見されてから急増しました。

―協会に寄せられる相談件数と概要は。

坂倉 平成29年度の相談件数は1347件で、前年度(1611件)と比較して若干減少しています。 行政からの有害動物駆除依頼は、前年度の24件から倍増し51件となっています。

―今後計画している事業や50周年記念事業は。

当協会
理事 川合 智之 氏

川合 10年前に県内の公共雨水枡(ます)の蚊発生状況調査を行ったのですが、10年後の変化を見るために、現在、ほぼ同じ場所で観測を行っているところです。 このような調査を行っている団体はほかになく、大変貴重なデータとなります。 結果は報告書としてまとめ、今後に役立ててまいります。

坂倉 50周年記念事業としては、来年1月の式典と記念機関誌の発行を予定しています。 2021年10月に有害生物防除業界のアジア太平洋会議(FOAPMA)が名古屋で開催されることが決まりました。 35カ国から約1千人の参加者が集う一大イベントですので、今から準備を始めています。

―行政の今後の取り込みと協会に望むことは。

矢野 県では、IPM(総合的有害生物管理)に対する取り組みを行っています。 生息調査を実施した上で、生息が確認されなかったり管理基準以内であれば、薬剤による駆除はしないという管理方法で、特定建築物と呼ばれる大規模な施設のほとんどで導入が進められています。 引き続き、食品衛生関係の講習会等の機会を活用して、積極的に普及啓発に努めてまいります。 今年3月に、協会と感染症発生時における消毒業務に関する協定を締結し、消毒や感染症を媒介する昆虫等の駆除、技術的支援などのご協力をお願いしております。 引き続き、防除作業従事者の技術の向上のためにご尽力いただくことを期待しております。


名古屋市健康福祉局・名古屋市保健所
健康部環境薬務課環境衛生係
林 圭子 氏

名古屋市は、6~7月を蚊防除運動期間と定め、ポスターを掲示し啓発に取り組んでいます。 蚊に関してはデングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ウエストナイルウイルスの保有状況調査を行い、結果はホームページにも掲載しています。

 最近、災害が各地で起きています。南海トラフ巨大地震にいたっては、いつ起きてもおかしくないといわれています。 名古屋市は、平成25年6月に災害等発生時における防疫活動の協力に関する協定を結んでおります。 どんな災害も起きてほしくはないですが、発災時にはご協力をよろしくお願いいたします。

坂倉 私どもは公益社団法人日本ペストコントロール協会の一員でもあります。 災害時には全国の会員が助け合って活動を行えるように常日頃から準備をしています。

 温暖化の進展によって、マダニによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やダニ媒介脳炎に関する報道を目にするようになりました。 また、マダニから人への感染だけでなく、マダニにかまれた動物と接触のあった人がSFTSを発症して死亡するケースも起きています。 さらに訪日観光客から持ち込まれる感染症やトコジラミ等、人々が脅威にさらされる状況が増えてきました。 私どもは、このような時代の変化に素早く対応していかなければなりません。 これからも行政と協力し、県民・市民の皆様の生活を守るために力を尽くしてまいります。

―ありがとうございました。
引用:中部経済新聞 掲載記事から

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