災害発生時における防疫活動の協力に関する協定を複数の地方自治体と結んでいる愛知県ペストコントロール協会。 日頃より人間の生活に害や不快感をもたらすダニや蚊などの生物やカビなどの微生物に対する予防、防除、駆除などを行っている。 あす6月4日は「ムシの日」にあたり、県や市も後援して啓蒙するイベントを開催する。今回は行政側と協会の代表者にお集まりいただき、業界の現状や課題などを語っていただいた。
(司会は本社編集局次長 大橋昌寛)
―まず、協会の紹介をお願いします。

当協会
会長 川瀬 充

川瀬 当協会は、公益社団法人になって5年目の団体で、県民の皆様が安心して快適な生活を営むことができるよう、有害生物の管理・防除など公衆衛生の維持向上と情報発信に取り組んでいます。3月末現在の会員数は正会員60社、賛助会員12社の計72社です。

われわれは、平成30年度に協会設立50周年を迎えます。 設立当初は、感染症を媒介する建物内の有害動物の防除が主な業務でしたが、最近はデング熱やジカウイルス感染症の感染源となる蚊の防除、鳥インフルエンザの拡大を防ぐための消毒、災害時の支援にも携わっています。

―「ムシの日」の役割は。

坂倉 毎年6月4日から7月4日までを「ムシナシ月間」、6月4日を「ムシの日」と定めて活動を行っています。 私どもは公益社団法人として、県民・市民の皆様に対する啓蒙活動と情報発信を重視しています。 今年は、6月4日の10時から16時まで、星ヶ丘三越1階ピロティで、「ムシの日イベント」を開催します。 啓蒙活動と同時に、私たちが取り組んでいる具体的な活動を紹介します。

―行政への相談件数と内容を教えてください。

愛知県健康福祉部健康医療局生活衛生課
課長補佐(環境衛生グループ)
高村 昌利 氏

高村 平成27年度の衛生害虫に関する相談件数は296件、そのうちダニに関する相談件数は52件(26年度48件)、その他の衛生害虫に関するものは244件でした。 26年度(256件)と比較すると40件増加していますが、全体的にほぼ平年並みとみています。

楫屋 平成27年度の衛生害虫に関する相談件数は4165件で、うちハチの相談件数が2394件と全体の57%を占めています。 26年度(2419件)との比較では、ほぼ横ばい。ハチの種類はスズメバチ2、アシナガバチ1という割合です。

蚊に関する相談は178件でした。 デング熱の国内感染事例が発生した26年度(223件)よりは少ないですが、25年度以前よりはかなり多くなっています。 さらに最近は、ジカウイルス感染症の報道により、胎児への影響を心配する女性からの問い合わせもあります。

―協会への相談内容は。

当協会
副会長 坂倉 弘康 氏

坂倉 27年度の相談件数は1197件でした。 26年度が1248件ですから、例年並みといった感じです。 ハチ類の相談が最も多く7割強を占め、そのほとんどがスズメバチに関するものです。

―名古屋市では近年、セアカゴケグモに関する相談が増加傾向でした。

名古屋市健康福祉局健康部
環境薬務課環境衛生係
係長 楫屋 和紀 氏

楫屋 27年度は377件の相談が寄せられました。26年度(470件)と比べて減少してはいますが、3月末時点で千種区以外の15区で確認されています。

名古屋市では昨年度から、8~9月をセアカゴケグモの危害防止運動期間と定め、ポスターを掲示するなど市民の皆様への注意喚起を行っています。

髙村 愛知県内では、中部国際空港周辺(常滑市)での報告が多くなっています。

川瀬 訪日旅行者数が2千万人を超える今、輸入感染症例が増えれば当然国内感染の可能性が高くなります。
防除に当たっては、私的領域と公的領域をどう管理するかという難しい問題もありますので、行政とのタイアップが必要になりますね。

―6月4日の「ムシの日イベント」について詳しく教えてください。

坂倉 「もっと知ろう! むしのこと」をキャッチフレーズに、当協会の若手が中心になって取り組みます。

例えばセアカゴケグモがどういうものかを知らなければ、実際に目にしても「これがセアカゴケグモだ」と認識できないわけです。 子どもに対しては「こういうクモがいたら触らずに逃げて大人に知らせましょう」、大人に対しては「踏みつぶして駆除した後、すぐに県や市、協会に相談をしてください」ということを、楽しいゲームを通してお伝えします。

景品を準備し「無料害虫相談コーナー」も開設しますので、気軽にお立ち寄りください。

川瀬 協会としてのこのような取り組みは、21年ぶりになります。 今回、愛知県と名古屋市にもご後援をいただきました。秋には弥富市と東郷町でも実施する予定です。これを1つの足掛かりにして、知名度アップを図っていきたいと思います。

―行政が協会に望むことは。

高村 県としては、ほぼ全ての特定建築物へIPM(総合的有害生物管理)を導入することができました。 今後は防除作業の適正な実施方法、例えば生息調査の管理基準の設定方法、頻度、実施計画についての助言・指導等もお願いします。 さらなる防除技術の向上と技術者の育成にご尽力いただくことを期待します。

楫屋 名古屋市は平成25年6月に、協会と「災害等発生時における防疫活動の協力に関する協定」を締結しました。 災害時は私どもだけでは手薄になりますので、ぜひご協力をお願いします。 近年はデング熱、ジカウイルス感染症の国内発生も懸念されています。万が一に備えて、さらに連携を密にしていきたいと思います。

川瀬 適正な実施方法を数値化するのは難しい面もありますが、協会で検討させていただきます。 また、災害等いざというときにお役に立てるよう講習会を定期的に開催していますが、今後も研鑽を積んでまいります。

―ありがとうございました。
引用:中部経済新聞 掲載記事から

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