災害発生時における防疫活動の協力に関する協定を複数の地方自治体と結んでいる愛知県ペストコントロール協会。 日頃より人間の生活に害や不快感をもたらすダニや蚊などの生物やカビなどの微生物に対する予防、防除、駆除などを行い、昨年は全国規模の2つの大会を主催し、行政との連携を一段と深めている。 6月4日の「ムシの日」にあたり、今回は行政側と協会の代表者にお集まりいただき、業界の現状や課題などについて語っていただいた。
―まず、協会の紹介をお願いします。

当協会
会長 川瀬 充

川瀬 当協会は、公益社団法人となって3年目の団体で、県民の皆様の公衆衛生の向上に寄与する活動をしております。 4月1日現在の会員数は、正会員59社、賛助会員12社の計71社です。毎年6月4日を「ムシの日」、6月4日から6月4日までを「ムシナシ月間」と定め、活動を行っています。
 昨年度は、「IPM事例研究発表会」(平成26年10月)、「ペストコントロールフォーラム」(平成27年2月)といった日本ペストコントロール協会が主催する大きな大会を、愛知県、名古屋市のご協力のもと開催することができました。

―行政への相談件数と概要を教えてください。

愛知県健康福祉部保健医療局生活衛生課
課長補佐(環境衛生グループ)
髙村 昌利 氏

髙村 平成26年度の衛生害虫に関する相談件数は279件(25年度265件)で、平年並みとなっています。 そのうちダニに関するものは48件(同61件)、その他の衛生害虫に関するものが208件です。
 ダニに関する相談のうち健康被害が約半数で、ダニアレルギーの症状を訴えるものが10件、かまれたというものは8件でした。 健康被害があるもの、特に調査の要望があるものについては、保健所がダニ相やダニアレルゲン量の調査を行っています。

長尾 平成26年度の総相談件数は4425件で、25年度(4004件)に比べ約1割増加しています。ただ、25年度が例年よりも少なかったので、これは例年並みの数字ではないかと見ています。 ハチ類の相談件数は2419件(25年度2238件)と、全体の半数以上を占めています。
 特に増えた相談はゴケグモで、470件(同202件)。名古屋市内の15区(同10区)で発見されています。マダニについての相談は17件(同33件)でした。 蚊については223件(同61件)で、デング熱の国内感染の発生があった後、急激に増えています。

―協会への相談内容は。

当協会
技術委員 森 重樹 氏

26年度の相談件数は1248件(25年度1122件)で、約1割増加しています。うちハチ類に関する相談は854件で、約70%を占めています。野生鳥獣類に関する相談は156件でした。

―マダニの生息調査や蚊の勉強会もされていますね。

私は行政が管理する2施設と矢作川河岸の草むらでマダニの調査をしたのですが、歩道の脇で無数に確認できる状態でした。知らずに足を踏み入れるような場所では、注意喚起が必要です。

川瀬 蚊の勉強会は、今年で3回目です。今回はデング熱の発生に備え、蚊の生態や調査法を勉強することになりました。

―IPM(総合的有害生物管理)に対する取り組みは。

川瀬 冒頭に申し上げた「IPM事例研究発表会」は、IPMが非常に進んでいることもあって愛知県が開催地に選ばれました。愛知県と名古屋市は、所有施設のほとんどがIPMで管理されています。

髙村 愛知県ペストコントロール協会をはじめとした関係6団体と愛知県、名古屋市、3中核市の5つの行政機関で構成する「愛知県IPM推進会議」は、平成23年11月に発足し、今年度でちょうど5年目になります。 発足以来、IPM講習会を開催するなIPMの普及啓発を図り、現在では特定建築物におけるIPMの導入は95%と、ほぼ達成されています。 県有施設に対しては、農薬・殺虫剤等薬剤適正使用ガイドラインに基づいてIPMに取り組んでいます。
 昨年度からは、食品営業施設へのIPMの推進に力を入れています。 国が定める食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)の中にもIPMによる管理が規定され、愛知県食品衛生条例にも4月1日からIPMによる管理が明文化されました。 さらに啓発が図れるのではないかと期待しています。


名古屋市健康福祉局健康部
環境薬務課環境衛生係係長
長尾 陽子 氏

長尾 25年度に行った市の施設における農薬・殺虫剤等の使用状況調査によると、24年度に比べて屋外・屋内とも減少しています。 このような調査や職員の研修を行い、薬剤使用に際し施設利用者に事前に周知することと薬剤の適正使用に努めてまいります。
 名古屋市は、以前から蚊の捕集調査とウイルス調査を行っており、5~10月までデングウイルスの検査を行います。 万が一ウイルスを保有している蚊が見つかった場合やデング熱が発生した場合は、管理者と連携して対策を立てることになりますが、周辺への配慮を十分にする必要があると考えています。

―今後の活動は。

川瀬 デング熱に関して、厚生労働省からガイドラインが出されました。近隣の県協会で組織する中部地区本部(東海4県・北陸3県で組織)でも情報交換をしながら行政機関とともに取り組んでまいります。

若手の会「青虫会」では、30~40代の協会員の横のつながりを意識した活動を行っています。 女性の意見もどんどん取り入れようと、このほど若手の女性の会「アゲハ会」を作りました。いろいろな価値観を大事にすることが、協会全体の活性化につながるのではないでしょうか。

川瀬 PCO技術だけでなく、多面的に経営の勉強をしたり、悩み事を話し合ったりして交流を深めることが、協会はもとより業界の発展につながるのではないかと期待しています。

―ありがとうございました。
引用:中部経済新聞 掲載記事から

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